FIV(猫エイズウイルス)とは

猫エイズの正式名称は「猫免疫不全ウイルス感染症」または「猫後天性免疫不全症候群」と呼ばれています。どういった病気かというと、FIV(Feline Immunodeficiency Virus:猫免疫不全ウイルス)というウイルスが原因で、猫が免疫不全になる感染症のひとつです。
人間のエイズの原因とされるHIV(Human Immunodeficiency Virus:ヒト免疫不全ウイルス)にある「レンチウイルス属」に属すのでよく似たウイルス構造を持っているので、猫エイズと呼ばれています。

同じレンチウィルス属に属しますが、人間のエイズウイルス(HIV)が猫に感染することはありません。もちろん猫エイズウイルス(FIV)が人間に感染したりすることもありません。

猫エイズは免疫機能が抑制されるため、免疫機能がおちることで発症すると、全身に色々な症状を起こします。

猫エイズはヒトにうつるの?

うつりません。

HIV(ヒトエイズウイルス)とFIV(ネコエイズウイルス)は同じ種類ではあるものの、FIVは猫属に特定されるウィルスのため人間や他の種の動物にうつることはありません。

感染経路は?

“キャリア”の猫による咬傷や交尾によって感染します。

FIV(ネコエイズウイルス)はウイルスに感染した猫の唾液に多く含まれます。
感染した猫がほかの猫をグルーミング(毛づくろい)することで感染する可能性もありますが、その確率はとても低いかほとんどないと言われています。
主に血液がでるくらいの傷が残る喧嘩で感染する場合が多いと言われています。
他にも交尾、母子感染などがありますが、兄弟であっても、1匹はキャリア、もう1匹はノンキャリアという場合も多く見られます。また、ウィルス自体は感染力の強い病原体ではありませんので、空気感染や接触感染はしません。

喧嘩で感染するため、お外の雄猫で怪我が多い子は猫エイズであることも度々あります。

発症率が低く天寿を全うする子も多い

あくまでウイルスを保持しているだけであり発症はしていない状態であるため、特別な投薬や治療が必要なわけでもなく、ウイルス陰性の猫たちと変わりない生活ができるのです。
また、発症までには数年から十数年かかり、その多くは発症しないまま天寿を全うすると言われています。(完全室内飼いの猫の寿命は平均15~20年ほどと言われています。)

譲渡率が低い

原因のひとつが、私たちが持つ「エイズ」のイメージでしょう。
ただ、猫エイズは私たちに感染する病気ではありませんし、感染した猫がかならず発症するわけでもありません。ウイルスを体内に持ちながらも、免疫機能を保持したまま、天寿を全うする猫もいます。
病気の知識を多くのみなさまに知ってもらい、偏見をなくし、すべての猫たちが温かい家庭の一員となれるよう努力致します。

猫エイズが発症したらどうなるの?

猫エイズは、まず感染すると1ヶ月から1年の間に

・発熱
・リンパ節の腫れ
・下痢

という症状が現れる場合があります。しかしその後、数年から数十年、全く症状があらわれない無症状キャリア期があります。

その後、PGL期と呼ばれる全身のリンパ節が腫れる時期があります。その後発症した場合は次のような症状が現れます。

・発熱
・口内炎
・鼻炎
・皮膚炎
・下痢
・少しの体重低下

このような症状が1年以上続きます。その後の数ヶ月がいわゆる「エイズ期」となります。ここまで来ると、

・激しい体重の減少
・日和見感染
・悪性腫瘍

という症状が出てきます。

最後に

正しい知識を身につけていれば、それほど恐れる病気ではありません。

早期発見をすることで、猫の寿命を伸ばせる対策も立てられます。

複数の猫と暮らしていている場合、1匹だけが猫エイズキャリアを持っていたとしても、噛んで血が出るほどの喧嘩をしない限り、他の猫と一緒に暮らしても問題はありません。

猫エイズキャリアを持つ猫に一番NGなのは「ストレス」です。免疫力が下がらないよう、日々愛情を込めて接してあげましょう。